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Capitol Games

Capitol Games: Clarence Thomas, Anita Hill, and the Story of a Supreme Court Nomination
Timothy M. Phelps & Helen Winternitz / New York: Hyperion Books, 1992

1991年、クラレンス・トマスをアメリカの最高裁判官として任命する、上院議会の投票を目前にして、判事トマスの元部下、アニタ・ヒルが彼からセクシャル・ハラスメントを受けたとNewsdayがスクープする。アメリカの最高裁にとっても、女性史にとっても大きな意味を持つ事件のレポタージュ本。作者の一人は記事をスクープしたNewsdayの記者。去年の授業でこの事件のケースを読んでとても面白かったので、薦められた本も読んでみた。最高裁判官任命の過程がよく分かる。

上院議会の裁判官推薦委員会(と訳すのだろうか・・・Judicial Committee)の一人がエドワード・ケネディ上院議員。彼は、以前の最高裁判官任命の時には先頭に立って反対し、任命阻止に成功したのだが、今回は『大統領候補の犯罪』にも出てきたチャパキディック事件や親族の性犯罪事件等があって、クラレンス・トマスに厳しく迫ることが出来ない。他の上院議員の何人かも、自分の過去がそれほど清く正しくないので、厳しく出来ない。政治家が潔癖でなければいけないのは、他人に厳しく出来ないといけないからだな、としみじみ思った。

ちなみに先日、オコナー最高裁判官が辞意を表明したので、新しい最高裁判官が任命されようとしている。しかしクラレンス・トマスは感じ悪いよなー(ぶつぶつ)。

日本語訳は出ていないみたい。
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by sheepish_grin | 2005-08-21 09:41 | other authors

『大統領候補の犯罪』

大統領候補の犯罪
ダグラス・カイカー 後藤 安彦・訳 / 新潮社、1992年

『クラム・ポンドの殺人』の続編。今度は夏のノース・ウォルポールが舞台。訳者あとがきによると、1972年の大統領候補、エドワード・ケネディの起こしたチャパキディック事件(秘書の女性を乗せて泥酔状態で運転、チャパキディック湖に車ごとつっこんだ。ケネディは助かったが秘書は死亡)を下敷きにしているそうだ。が、この事件を知らないと、ちょっと??かもしれない。

避暑地の町、大部分の店が閉まってしまう冬も開いている小さな店や、住民たちの描写が楽しい。特に食べ物がおいしそう。料理好きの司祭さんが料理する場面が素敵。近所の魚屋が新鮮な鱈の幼魚を持ってきてくれた、と料理を始める:
司祭は大きな黒いフライパンをストーブにのせ、バターをひと塊り放りこむと、ガスの火をつけた。それから小麦粉とカレー粉を三対一ぐらいの割合で手早く混ぜ魚の切り身にそれをまぶすと、バターが煮立ったところで、切り身をいためてソテーを作った。
(中略)「デザートには、サワー・クリームを入れたレーズンパイを用意してます。われわれぐらいの年齢になると、食事にはあまりボリュームは必要じゃないですからね」 (p.211)
蛇足だけれど、ここで言う「ストーブ」は料理用ガスコンロのこと。この訳だと、暖房用のストーブで料理しているみたいだけれど、英語ではコンロのことを"cooking stove"というので。

原書はこちら。Death at the Cut
Douglas Kiker / Ballantine Books, 1988
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by sheepish_grin | 2005-08-14 12:45 | other authors

『クラム・ポンドの殺人』

クラム・ポンドの殺人
ダグラス・カイカー 後藤 安彦・訳 / 新潮社、1991年

勤務先の新聞社の経営者が変わるに従い、紙面の質も落ち、首になった新聞記者のマックが主人公。首になった日に、家に帰って妻の日記を何の気なしに開けてみると、彼女が浮気していることを知り逆上して彼女を追い出し、浮気相手に復讐する(こらこら、暴力はいけませんぞ)。離婚弁護士になけなしの退職金も奪われ、シカゴを離れてマサチューセッツ州の避暑地ケープ・コッドの町ノース・ウォルポールに住みつく。真冬の避暑地は、湾も凍りつき、人影もまばら。隣の老婦人の死体を発見し・・・というストーリ(どういうストーリなんだか)。

避暑地の小さな町に年中住んでいる人たちの描写がなかなかに魅力的で楽しい。しかし、マック(50歳くらいで太り気味、ひがみやすい)の恋人となるケート(30代はじめの聡明で美しくて性格も良い)はマックの一体どこが良くて好きになったんだ。小説にはこういう設定が多いよな、と軽い憤りを感じていたけれど、どこかのウェッブ・サイトで「現実にもそういう(どこを好きになったんだかと首を傾げてしまう)カップルは多い」という意味のことが書かれていたのを見て、何となく納得してしまう。うむー、人生は理不尽で、理屈だけではないわけね。しかしケートの設定って思いっきりマッチョなファンタジーだよな。ぶつぶつ。

原書はこちら。
Murder on Clam Pond
Douglas Kiker / Ballantine Books, 1986
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by sheepish_grin | 2005-08-13 12:08 | other authors

『Aアヴェニューの東』

ああ、にゃんでこんなに暑いんだ・・・とうなってしまうほど暑い。この夏、気温が摂氏で35度くらいまであがることも珍しくない。冬は零下25度になるのにぃ~。今年は例年より暑いらしい。しかもアパートは冬向けに、熱をためるように出来ているらしく、廊下に出た方が、部屋の中よりも涼しい。エアコンもない。あるのは、熱くなった空気をかき回す天井のファンだけ、という部屋で、どこに行く気も起こらず、汗をかきながら眠る週末。

Aアヴェニューの東
ラッセル・アトウッド 塩川 優・訳 / 早川書房、2001年

また半分眠りながら、送ってもらった小説を読む。ニューヨーク・シティ、マンハッタンのローワー・イーストサイドが舞台のハードボイルド小説。だめだ、最近、人が一人以上殺されて、麻薬が出てきて・・・というハードボイルドにはついていけないわ。ばきゅんばきゅん。主人公も、最初の5ページくらいでは人物描写に期待が持てたんだけれど、結局感情移入できず。ぱらぱらと読み終わってしまった。

でも一応、Google Mapsで、Avenue Aというところがあるのね~と確認。表紙の写真が、Avenue AとWest 42nd Streetの標識なんだけれど、Ave. AがW.42 St. と交差するのってないんじゃないの?合成写真かしらん?とか、色々見てしまう。うみぃ、何をしてるんだか。

原書はこちら。
East of A
Russell Atwood / Ballantine Books, 1999
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by sheepish_grin | 2005-08-06 12:23 | other authors

Girls in the Van

The Girls in the Van: Covering Hillary
Beth J. Harpaz / New York: St Martin's Press, 2001

そうそう、これも読んだんだった。学部で隔月にやっている「女性と政治ブック・グループ」に、夏休みで時間があるので顔を出している。大学外の地域にも開かれているもので、参加者の平均年齢が高めなのが特徴か。

今回の本は、ヒラリー・クリントンが2000年にニューヨーク州から上院議員に立候補する前から、当選するまでを追った女性ジャーナリストの手記。日本にいるときはヒラリーの人気がどんなものか分からなかったけど、多くの人に熱狂的に愛され、また多くの人に激しく憎悪されているみたい。2004年の春にワシントンDCのデモに行った時に、ヒラリーがスピーチをしたけれど、彼女の時だけ何十万人もの人が一心に巨大スクリーンを見つめていたのがとても印象的、カリスマ的人気がある。

この本を読むと、アメリカのメディア中心の選挙活動が分かって面白かった。ヒラリーもジャーナリストも大変ね。

日本語訳は出ていない模様。
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by sheepish_grin | 2005-08-03 09:20 | other authors