『パーフェクト・ブルー』

パーフェクト・ブルー
宮部 みゆき / 東京創元社、1989年

疲れていたり忙しかったりすると、宮部みゆきのミステリの再読か、エッセイを読む傾向にあるようだ。ついつい、気軽に楽しく読めるものに食指が動く。

と、いうことで(?)宮部みゆきの長編デビュー作の何度目かの再読。この小説の魅力は、語り手の犬のマサにつきる。それから、マサの飼い主の蓮見一家もいい。蓮見さんちは探偵事務所で、お父さんが所長、長女の加代子さんは調査員、次女の糸子ちゃんは高校生。加代子さんは、広告代理店に就職したかったけれど、父親の職業でことごとく落とされたけれど、気を取り直して優秀な探偵になった、という設定も地に足が着いていて素敵だ。
[PR]
# by sheepish_grin | 2006-11-11 18:38 | 宮部みゆき

『誰か』

誰か ----Somebody
宮部 みゆき / 実業之日本社、2003年

日本のミステリ作家で一番好きなのは宮部みゆきだ。人への視線が優しいし、女性の描き方も好き。こういう安心して読める作家の存在は、はずれを読みたくない時に重要だ。『誰か』は知らないうちに出ていた現代ミステリー。アメリカにいた間に出ていたようだ。ブックオフで安売りしているのを見つけて、図書館で借りた。

巨大グループ企業の会長の娘とごく普通の恋をして結婚して7年の35歳杉村さんが主人公。前職は小さな児童書の出版社員で、今は舅の会社の社内報編集室で働いている。妻の家族との金銭感覚や生活観のギャップにめまいを起こしながらも、妻と4歳の娘の桃子ちゃんとの日常生活の幸せを守ろうと生きている。こういう人好きだなー。舅の会長に頼まれて、自転車のひき逃げ事故で亡くなった会長付運転手の人生を調べていくうちに、色々な人の人生の裏側が見えていく。

ちょっと設定がマンガっぽいけど、なかなか面白かった。
[PR]
# by sheepish_grin | 2006-10-28 16:48 | 宮部みゆき

『白弧魔記 戦国の雲』

白狐魔記 戦国の雲
斉藤 洋 / 偕成社、2006年

斉藤洋の『白弧魔記』シリーズの4作目。シリーズの紹介文によると、「白弧魔丸という仙人ギツネが・・・日本史上の大きな事件や英雄たちと遭遇し、人間がなぜ人間同士殺しあうのかという疑問の答えを探し、時を旅する大河タイムファンタジー」なんである。壮大だ。1作目は源平合戦が舞台だったけれど、この4作目は織田信長と羽柴秀吉が出てくる。

面白かったのだけれど、久しぶりの最新刊だったので、前の3作の記憶があまり残っていない・・・また読み直さなきゃ。
[PR]
# by sheepish_grin | 2006-10-28 16:15 | 斉藤洋

『三谷幸喜のありふれた生活』

三谷幸喜のありふれた生活
三谷 幸喜 / 朝日新聞社、2002年

新聞に今も連載されいるエッセイ「ありふれた生活」を読むのが好きなので、単行本になっているものを読んでみた。連載の最初のころはアメリカにいたから読んでいなかったし。三谷幸喜の程よいだめっぷりは読んでいて楽しい。

最近エッセイづいている。こういうエッセイはかるーく読めるので、疲れ気味のときに読みたくなるのかも。
[PR]
# by sheepish_grin | 2006-10-28 16:09 | その他の作家

『君について行こう』

君について行こう〈上〉女房は宇宙をめざす
向井 万起男 / 講談社、1998年


君について行こう〈下〉女房と宇宙飛行士たち
向井 万起男 / 講談社、1998年

先日新聞に、宇宙飛行士の向井千秋さんの夫の向井万起男さんの談話が載っていた。「僕も昔から宇宙飛行士になりたかったけれど、実際に応募するチャンスがあった時には、自分の医師としてのキャリアをどうしよう、とか色々考えて迷ってしまった。でも妻は募集広告を見て、すぐに決断して、実際に宇宙飛行士になってしまった」というような趣旨のことが書いてあるのを読んで、「慎重すぎず、向こう見ずなくらいでなきゃ、夢を実現したり、自分の人生や社会は変えられないのかも」とすとんと納得してしまった。見る前に飛べ、だ。

新聞の記事の一節があまりに印象的だったので、本も読んでみた。向井万起男さんの本業は病理学医。残念ながらこういう読ませるタイプの文章はあまりお上手ではなくて、話があっちこっちに行く。ゴーストライターというのはこういう時に必要なのかも、と思いながら読んでいると、中盤から内容のパワーが文章を凌駕して、本自体はとても面白かった。本を読み終えると、「マキオちゃん」と「チアキちゃん」のお友達のような気分になったし。しかし、向井千秋さんは、思い切りだけの人ではもちろんなくて、ものすごく強い意志と努力の人だ。

宇宙飛行士の訓練の内容よりも、一番興味深かったのは、NASAの「家族支援プログラム」。宇宙飛行士の家族を精神的にサポートするシステムだそうだ。向井万起男さんも、
このプログラムの根底に流れている"人間とは弱いものだ、脆いものだ、助けを必要としているのだ"という考え方、さらに、"宇宙飛行士だって、人間としての弱さと脆さを持っているのだ"という事実をNASAという国家機関があっさり認めていることに感心した(上巻 p.197)
と書いている。NASAはずいぶんとマッチョな組織文化のようだけれど、こういうところは本当にしっかりできているようだ。アメリカの大学も、学生やスタッフの精神的サポートには力が入っていて、わたしも何度もお世話になったな、と思い出した。

この上下巻は、シャトルが打ち上げられたところで終わっているので、続きも読んでみようかな。
[PR]
# by sheepish_grin | 2006-10-28 16:04 | その他の作家

『東京奇譚集』

東京奇譚集
村上 春樹 / 新潮社、2005年

最近村上春樹をあまり読んでいなかったけれど、この本の一作目を読んで、やっぱりなかなかいいな、と思った。休日の山手線で読んでいたのだけれど、心がしんとするような感じがした。この感覚が好きで村上春樹を読むのかもしれない。

収録されている5つの中篇のうち、最初の「偶然の旅人」は、神奈川県にあるアウトレット・ショッピング・モールのコーヒーショップで本を読むという設定。本とコーヒー好きなのでこういう設定は無条件に好きだ。「しん」とした感じが一番するこの作品がこの本の中では一番好き。

クールなお母さんが出てくる「ハナレイ・ベイ」もよかった。最後の「品川猿」は、品川区に住んでいるだけに(?)楽しい。品川区役所も出てくる。まあ品川区である必要性はないんだけど。
[PR]
# by sheepish_grin | 2006-10-23 01:12 | 村上春樹

『不実な美女か貞淑な醜女か』

不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か
米原 万里 / 新潮社、1997年

ハードカバーは1994年出版。米原万里さんのことは知っていたものの、ちゃんと読んだことはなかった。訃報を聞いた上司が「彼女の本、すごく好きだったのに・・・」と悼んでいるのを耳にして、図書館で借りてみた。

学生のころ、通訳論の5日間集中講義を取ったこともあったし、通訳・翻訳にはずっと興味があった。最近、仕事で時々翻訳さんや通訳さんにお仕事をお願いしてみて、想像していたよりもスキルレベルにばらつきがあるんだなーと思っていたところに、この本を読んでみて、とても面白かった。

先日、英語→日本語の逐次通訳さんが、あまりに沈黙を恐れるあまりにか、「・・・といいますのは」とか、「ですからして・・・」と意味のないつなぎ言葉を連発していて、聴いているだけでちょっと疲れてしまったので、この本の「発言の骨子を伝えるべき通訳と、文体まで伝える翻訳」という話には納得。自戒も込めて、英語も日本語も、要旨をきちんと話すことが大切なのね。米原さんはかなり大胆に、要旨を訳す人だったようだ。

随所に散りばめられている小話(と下ネタ)を読んでいるうちに、英語以外の言語もやっぱりやってみたいなという気になってくる。学生の時に一年間勉強したロシア語は、固有名詞が格変化するところで付いていけなくなったのだけれど。うむー。
[PR]
# by sheepish_grin | 2006-10-15 21:21 | 米原万里

"'M' is for Malice"

先日、「最近本読みブログ、止まってるね」と聞かれたことがちょっとうれしくて、再開してみようかな、と。仕事は落ち着かないけれど、生活は落ち着いてきたから。

1年分くらいビハインドなので、最近読んだ本と、記録に残しておきたいものだけ書いてみよう。

M Is for Malice
Sue Grafton / Fawcett Books, 1996

キンジー・ミルホーン・シリーズのM。確か、2005年の10月にボストンから帰る時に、空港のブックストアで買った。最近は、空港にもそれなりの大きさの本屋があって、アルファベット・シリーズくらいなら全部揃っているところがありがたい。

キンジーの、再発見した家族が絡んでくる1冊。一人でまっすぐに立っている彼女が、急に「家族」を得て、戸惑うところが面白い。
冒頭の、
Robert Dietz came back into my life on Wednesday, January 8. I remember the date because it was Elvis Presley's birthday and one of the local radio stations had announced it would spend the next twenty-four hours playing every song he'd ever sung.
を読んで、にんまり。こういう文体は、とてもグラフトンらしい。

日本語訳は、『悪意のM』。
悪意のM
スー・グラフトン 嵯峨 静江・訳 / 早川書房
[PR]
# by sheepish_grin | 2006-10-14 14:37 | Grafton, Sue

"A Certain Justice"

A Certain Justice (Adam Dalgliesh Mysteries)
P. D. James / Ballantine Books, 1997

その昔、5年ほど前にアメリカから帰って来る時、大学のブックストアで1冊1ドルの棚にあったので買ったミステリ。ロンドンの裁判所が舞台で、イギリス英語の法律用語がたくさん出てくるので、序盤ものすごくとっつきにく、なかなか読む気が起きなかったが、今回、通勤電車の中でちまちまと1ヶ月ほどかけて読破。431ページあるのだけれど、300ページくらいまでやたらにたくさんの登場人物が、それぞれの人生を語りだして、誰が誰だかわからないし、登場人物に感情移入できない。でも、300ページを越えたころから、それまで張ってきた伏線を縦横無尽に使って、急に事件が展開してきて一気に面白くなった。主人公とは思えないほど影の薄いAdam Dangliesh警部も、部下の刑事Kateもだんだん魅力的になってきたし。久しぶりに、謎解きが納得できて面白いミステリだった気がする。この本の中表紙の書評に目立つ"satisfying"という言葉が、この本をよく表している。

調べてみたら、あの『女には向かない職業』もこのAdam Danglieshシリーズなんだ。コーデリア・グレイは覚えているけれど、Adam Dangliesh警部は記憶にないな・・・;;。また読んでみようかしら。コーデリア・グレイもシリーズに何度か登場するみたいだし。

日本語訳も出ている。ハヤカワ・ミステリの表紙は渋いな。
正義(上)
P.D. ジェイムズ・著、 青木 久恵・訳 / 早川書房


正義(下)
P.D. ジェイムズ・著、 青木 久恵・訳 / 早川書房
[PR]
# by sheepish_grin | 2006-07-06 23:30 | other authors

『青い目の犬』

青い犬の目―死をめぐる11の短篇
ガルシア=マルケス、井上義一・訳 / 福武書店、1994年

マルケスしゃん(←こら)の1962年の短編集。死のイメージが、形や匂いを変えて迫り来る感じ。

スペイン語版はこんな感じ。Ojos de perro azul.
Gabriel Garcia Marquez / Celesa
[PR]
# by sheepish_grin | 2006-07-02 00:52 | Marquez, G.Garcia