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『シャーロック・ホームズの愛弟子』

シャーロック・ホームズの愛弟子
ローリー・R・キング 山田 久美子・訳 / 集英社 1997年

捜査官ケイト・シリーズのローリー・R・キングの別シリーズ。送って頂いた(合掌)。初老のシャーロック・ホームズが出てくる。ふむふむ、なかなか面白かった。「今日は疲れたから、ちょっと続きをのんびり読んで寝るか~」と読み始めたら、たらたらと朝の4時前まで読みきってしまった・・・。

主人公の小娘(笑)・メアリ・ラッセルにもホームズにも「とろいけれどいい人」的に軽んじられているワトソン先生がちょっとお気に入り。ローリー・R・キングの作品らしく、主人公は神学を学んでいる。

訳者あとがきに、
典型的なヴィクトリア朝の紳士であるホームズと、きわめて現代的な若い女性ラッセルにコンビを組ませるというアイデアは大成功だったといえよう。女性を礼儀正しくあつかうが軽んじがちなホームズと、あくまで同等の権利を要求するラッセル。そのユーモアな味わい、重苦しくない匙加減のフェミニズムも、本シリーズの特徴といえる。(pp.527-8)
とある。確かに、メアリもがんばって、対等な相方になろうとしているのだけれど、この年齢差があまりに大きい(初期設定ではメアリ・15歳、ホームズ・50代)上にカリスマのホームズという設定だと、ちょっとくらい下にいてもいいか、と思ってしまうんだよね。その設定はちょっとずるいかもしれない。(作者の夫も30歳年上の宗教学の教授なのか、ふみみ。)しかし、この先「愛弟子」がどこまで「パートナー」になれるかは興味深いところ。自戒もこめて。

しかし、この日本語訳の文庫のカバー絵、もうちょっと何とかならなかったのだろうか・・・。

原書はこちら。
The Beekeeper's Apprentice
Laurie R. King / Bantam Books, 1995
by sheepish_grin | 2005-04-07 13:12 | King, Laurie R.
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